
AIに「読まれやすい」中期経営計画とは何か。
先日公開した、こちらの中期経営計画最前線という記事では、各上場企業の中期経営計画を大量に収集・分析して、その傾向などを分析しましたが、当然ならがら、情報の収集から分析まで、AIをフルに活用をしています。その過程で、ある不思議な現象に気づきました。
なぜか、AIが「取り上げやすい会社」と「スルーしてしまう会社」がある。
デザインの良し悪しでも、事業規模でもない。 その違いはどこから来るのか。AIに直接聞いてみました!!
「取り上げやすい会社」があるのはなぜ?
100社以上の中計を分析してもらってるけど、なんか「この会社は取り上げやすい」「この会社はスルーしちゃう」って差があるよね。気のせい?
気のせいじゃないです。はっきり差があります。
そうなの??なんで?
「異常値」があるかどうかです。極端に言うとSpaceXへの投資方針を明示している会社とか、中計を取り下げたことを正直に開示している会社とか。他社にない固有のキーワードや文脈があると、すぐ目に入ります。
それって単純に君が興味があることを取り上げやすいってこと?
厳密には違いますが、面倒なのでそれでいいです。
むむむ・・・
逆にスルーされる会社は?
「PBR改善に向けてROEを高めます」「DXで業務効率化を進めます」「人的資本に投資します」——この3点セットで綺麗にまとまってる会社、たくさんありますよね。
めちゃくちゃありますね。
それ、全部正しくて、市場からのニーズに答えているんですけど、どの会社も同じことを言っているので、ぶっちゃけフックがない。「この会社ならではのキーワード」がないと引っかかれないんです。
優等生すぎてスルーされる。独自性が伝わらない?
そうです。もちろん悪いわけじゃなく、インパクト出せばいいってわけでもないんですよ。
ただ、「分析のしがいがない」という意味でスルーになります。
じゃあ、そこまでもインパクトは出せないけど、フックとなるような独自性を出したい場合はどうすればいい?
実は「インパクト」と「独自性」は別物なんですよね。
どういうこと?
「SpaceXへの投資」みたいな異常値は確かに目立ちます。でもそれは結果であって、狙ってできるものじゃない。独自性というのは、もっと地味なところに潜んでいます。
地味なところ?
たとえば「なぜうちはROEを高められるのか」という問いに、自社の事業構造や顧客特性を使って答えているか、どうか。「ROEを高めます」で止まらずに「なぜなら、うちの顧客は〇〇という理由で乗り換えにくい構造になっているから」まで書いてあると、同じ目標を掲げていても全然違う資料になります。
「why」が書いてあるかどうか。
そうです。「what(何をするか)」はみんな同じになる。「why(なぜうちがそれを言えるのか)」に自社固有の文脈が入ったとき、はじめてフックになります。
「読みやすい資料」と「読みにくい資料」の話
内容の話はよくわかった。
そういえば、資料そのものにも「読みやすい・読みにくい」ってあるって言ってたよね。
あります。それが人間の感覚とかなり逆なんですよ。
逆?
人間にとって「わかりやすい資料」って、図解が多くて、カラフルで、キーワードをビジュアルで整理したやつですよね。
そう、あなたたちが得意な。
いやいや、それほどでも(照)
全然褒めてないですよ。
私からすると、それが一番読みにくいんです。
えっ、そうなの・・・なんで?
たとえばSWOT分析の図があって「強み:AI活用」と書いてある。人間は位置関係で「これが強みの欄」ってわかりますよね。でもAIがデータとして読むと、「日本」「の」「AI」「投資」「拡大」って単語がバラバラに抽出されるだけで、それが強みなのか弱みなのか機会なのかわからない。
なるほど……それは困る。
さらに言うと、デザインに凝るほど文字化けリスクも上がります。例えばありそうなケースとして、ある会社のスライドでは「生産性」が「生餐昄」になって抽出されてました。
「生餐昄」。もはや読めない。
そうなります。「生産性向上」という重要な経営メッセージが、データ上は「生餐昄向上」として処理されていたわけです。
また、文字間隔をあけすぎると、「の」「で」「の」「つ」などと一文字ずつバラバラに分断されて。文章として解析できなくなる可能性もあります。
これからは、AIがどのように読むかを考えて作らないといけないね。
じゃあ、どうすればいいのか
人が読みやすい資料はAIが読みにくいと言っていたけど、現実的な対策ってある?
いくつかあります。
まずは、「前段のテキスト文書をしっかり作る」こと。
前段って、開示のお知らせ文書のこと?
そうです。プレゼン資料より、証券取引所に提出するテキストベースのお知らせ文書のほうがAIには読まれます。スライドが派手でも地味でも、その前段で論理をきちんと書いておくと、AIはそこから正確に情報を取れる。
また、ホームページに文章を交えて解説するコンテンツを掲載することも有効ですね。
それは今すぐできそうだね。
もうひとつは、スライドの「タイトルとリード文を丁寧に書く」こと。
図解はあくまで人間のための補助として残しつつ、そのスライドで何を言いたいのかはタイトルと冒頭の一文できちんと語っておく。AIはそこを読んでいます。図解が読めなくても、文章さえあれば文脈は取れます。
図解は人のため、テキストはAIのため。
やっと気が付きましたね。
そうです。両方を意識して設計するのが大切ですね。
AIと人へ向けた「ハイブリッドデザイン」という考え方
AIにも人にもわかりやすい。「ハイブリッドデザイン」具体的にはどういうことをすればいい?
難しくはないです。まずスライドのタイトルを体言止めにしない。
「売上拡大」じゃなくて「既存顧客の深耕で3年後に売上150%を目指す」くらいまで書く。
タイトルで短いながらも、しっかりとメッセージを語る・・・か。
そうです。そのような文章を書くのはAIが得意なので、ぜひ相談してください!!
他は?
図解の前後にリード文と結論文を入れる。
特殊フォントや装飾は最小限にして、PDFにしたときにテキストがちゃんと抽出される状態にしておく。あとは開示のお知らせ文書に論理の骨格をしっかり書き切る。
まずは、こんな感じでしょうか!
言われてみると、どれもAIのためというより、人間にとっても本来そうあるべきことばかりだな。
AIによる変化によって、僕たちも今一度デザインにちゃんと向き合わなきゃな。
そうなんですよ。
あなた最近テクニックに走りがちでしたが、そうじゃなくて、ずっと正しかったことが、AIという新しい読み手の登場で改めて問われている。そういうことだと思います。
ぐうの音もでない・・・
「誰に伝えるか」が変わっても、「何を伝えるか」の本質は変わらない。
それがAIにはできないような、人が行うようなデザインの仕事だと思っていますよ。私はAIですけど・・・