2026年版「第5回日経統合報告書アワード」受賞企業の価値創造プロセスを読んでみた。

はじめに

2026年2月末、「第5回日経統合報告書アワード」が発表され、昨年発行された統合報告書の傾向なども見えてきました。

これから次の統合報告書を作るという時期。
各社ともに、トレンドや他社事例を取り入れた冊子づくりを進めているのではないでしょうか。

そこで、インクデザインとして、いち早く、受賞企業の価値創造プロセス図に絞って簡単なレビューを掲載します。

皆様の統合報告書企画作成の一助になればと思います。


※当社の実績ではございません。
※当サイトが提供する情報は証券投資の勧誘を意図するものではありません。当サイトを利用しての情報収集・投資判断は皆様の自己責任により行われますようお願い致します。
※デザイン・IR業界活性化のための研究目的として各社様資料を引用して分析しています。


味の素(グランプリ)

価値創造のフレームワークと記載されていますが、マテリアリティに関してのページにおいて、マテリアリティ策定のフレームワークとして記載。
従来の価値創造プロセスではなく、独自のプロセスですが、非常にわかりやすく納得感があります。グランプリも納得の内容ではないでしょうか。

引用:https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/ir/

伊藤忠商事(グランプリ)

「商人型」価値創造サイクルと独自性を盛り込んだ表現。
資本をもとにビジネスを回し、3つの企業価値算定式の項目に繋がり、企業価値向上のサイクルを回す。
そしてそのコアには『三方よし』という強烈な理念がある。
論理的にもデザイン的にも美しい図です。

引用:https://www.itochu.co.jp/ja/ir/index.html

富士通(グランプリ)

オーソドックスプロセス図に見えますが、ゆえにしっかりとした論理構造が見ます。
マテリアリティに対しての定量的なアウトカムの表現や、インプット、経営目標と定量的なロジックの組み立ては机上の空論で終わらせない実行力が見えてきます。

引用:https://pr.fujitsu.com/jp/ir/library/

ANAホールディングス(サステナブル大賞)

人的資本を基軸とした価値創造サイクルと表現しているのは独自性がうかがえます。
実際にアウトプット、アウトカムを見ていても人がコアなプロセスと覚悟が見えてきます。
色味がさわやかなデザイン。

引用:https://www.ana.co.jp/group/investors/

三菱UFJフィナンシャル・グループ(ガバナンス大賞)

パーパスを起点に基盤、戦略の上昇ラインをたどり、経済的価値と社会的価値を創造する姿を力づよく表現したプロセス図です。

引用:https://www.mufg.jp/ir/index.html

旭化成(準グランプリ)

円型、サイクル型の図です。
インプットが資本に限らず各アセットをもとに、各事業を回し、アウトカムを創出していく。
円型はあまり見慣れませんが、ロジック的には読み解きやすいプロセス図だと思います。

引用:https://www.asahi-kasei.com/jp/ir/

J. フロント リテイリング(準グランプリ)

とても美しいデザイン。
一見、読み解きにくそうですが、外部認識から、マテリアリティ、資本をもとにビジネスを回し、ステークホルダーに対して、アウトカムを創出していくという、非常にロジカルなプロセス図です。

引用:https://www.j-front-retailing.com/ir/index.php

住友林業(準グランプリ)

2ページに渡っての表現はとてもユニーク。
中心に据えられたウッドサイクルは誌面を通じて語られる大切な概念。
定量情報を交えた多めの情報は、ビジーになりがちですが、2ページに渡り丁寧に説明されているので、見やすくわかりやすいです。

引用:https://sfc.jp/information/ir/

積水ハウス(準グランプリ)

厳密には価値創造プロセス図ではなく、コーポレートストーリーの一部の図解。
どのようなフェーズでどのような価値を創造してきたか。価値の広がりとともに表現されています。

引用:https://www.sekisuihouse.co.jp/company/financial/

高砂熱学工業(準グランプリ)

一見、オーソドックスな図に見えますが、中央がマトリックスになっており、事業領域の拡大と事業効率化の軸になっており、各事業のポジションを示しているのは画期的。

引用:https://www.tte-net.com/ir/library/index.html

東京エレクトロン(準グランプリ)

ビジネスにおけるバリューチェーンの中心にマテリアリティを据えて表現。
またアウトカムをステークホルダーに届けることでインパクト創出と表現しているのは、力強さを感じます。

引用:https://www.tel.co.jp/ir/

東京応化工業(準グランプリ)

研究機関、学術関係者、ベンチャー企業などとの共有価値を定義しているのは、らしさや特徴のひとつだと感じます。
社会的課題/メガトレンド、アウトカム/社会的インパクトを丁寧に記載されています。

引用:https://www.tok.co.jp/ir

富士フイルムホールディングス(準グランプリ)

中央の上昇ラインが特徴的なデザイン。
パーパスが起点になり価値創造していく様子を掴むことができます。
イノベーションが経営基盤の一つとされているのもユニーク。

引用:https://ir.fujifilm.com/ja/investors/ir-materials.html

三井不動産(準グランプリ)

シンプルな図ですが、ロジックとしては明確。
シンプル化した分、詳細の情報はリンク先から見られるので、読み手にはフレンドリーであり、機能的なデザイン。

引用:https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/ir/library/

ハーモニック・ドライブ・システムズ(新人賞)

シンプルかつオーソドックス構成とロジック。ゆえにスッと理解できる。
循環の箇所では外部環境や機会、リスクをもとに資本を再分配する様子が表現されています。

引用:https://www.hds.co.jp/ir/

大和証券グループ本社(レジェンド賞)

さすがレジェンド章といえる王道感。
情報量も適度で、見やすくわかりやすい。
迷ったときはこの図に倣って要素を置いてみるとロジックが見えやすいという、テンプレート的な図。

引用:https://www.daiwa-grp.jp/ir/

まとめ

感想としては、過度にシンプルにはせずに、オーソドックスなロジックとデザインをベースにしつつ、定量情報はしっかり記載。
また独自概念を盛り込むユニークさの訴求。
そんなところが現状のトレンドではないかと思います。

また、掲載しない企業や、掲載位置がやや後半に移動している企業も見られたので、これから価値創造プロセスの意味や意義は再定義されていくかもしれません。

インクデザインでは今後とも、IR業界、デザイン業界が活性化するような記事をアップしてきます。取り上げてほしいテーマ等あればお気軽にリクエストください!

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1974年1月31日生まれ B型。茨城県日立市出身。大学進学を機に上京し、お笑いを志すも挫折。Macに出会い、脳天ぶち抜かれ、デザインに目覚める。 (中略) 2024年、入居していたシェアオフィスが廃業するという、嘘みたいな理由で、移転を強いられる。同年、求人を出したら50人応募があったことにいい気になり、1年で10名を採用。本人談「完全に調子に乗ったけど、いい人ばかりだったから、どうしても入ってほしかったんだ」 自称、パワーポイント日本一&IR業界における文系最強企業。 続きはこちらから → https://incdesign.jp/junsuzuki/

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