
日経統合報告書アワード2025の審査結果が公開されましたね!
受賞した企業の報告書は、情報の網羅性という段階を越えて、投資家との「建設的な対話」を促すためのコミュニケーションツールとして極めて高い水準です。
審査基準や審査員の講評、実際の受賞企業の開示内容から、評価されるポイントと最新の開示傾向を解説します!
※インクデザインは、『IR×デザイン』を軸にデザインコンサルティング事業を展開し、統合報告書を含むIR資料の制作をしています。
※今回の記事は当社の制作実績ではございません。
デザイン・IR業界活性化のための研究目的として各社様資料を引用して分析しています。
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なぜ受賞できたのか?審査講評から読み解く3つのポイント
① 経営トップの熱量と「一貫性のある価値創造ストーリー」
高く評価される報告書に共通しているのは、経営トップが自身の言葉と情熱で企業価値創造に向けたストーリーを語っている点です。
単なる情報の羅列ではなく、自社の強みやビジネスモデルがどのような社会課題や市場と結びつき、どのような競争優位や企業価値の向上につながるのか。
一貫性を持って論理的かつ自然に理解できる形で整理されていることが重要視されています。
味の素株式会社様
引用:味の素グループ ASVレポート2025

新社長によるCEOメッセージで、「構想力と実行力の強化」でASV経営を進化させ、2030年ありたい姿を前倒しで実現するという強い意志と、「健全な危機感」を持って挑戦を続ける、その熱量が語られていますね!
② 非財務情報と財務情報の「論理的な接続」
人的資本やサステナビリティといった非財務情報が、将来の稼ぐ力にどうつながるのかを説得力をもって示せているかが大きな評価の分かれ目です。
非財務のKPIが、研修回数等の単なる「アウトプット」にとどまらず、それがどのような「アウトカム」を生み、最終的に企業価値とどう接続するのかを示す「統合思考」の実装が求められています。
ANAホールディングス株式会社
引用:統合報告書2025

非財務と財務のつながりを可視化する「価値関連性分析」を実行し、人財領域の施策が企業価値にどうつながるかを定量的なデータを用いて検証・開示しています!
③ 実効性が伝わる「ガバナンス」と本音の開示
形式的なガバナンス体制の説明ではなく、取締役会がモニタリングボードとして本当に機能しているかどうかの「実効性」が問われています。
投資家との対話で得た問題意識に対して経営主体からの回答となっているか、課題や不都合な事実を取りつくろわずに「ありのままの姿」として開示している企業が高く評価されています。
パーソルホールディングス株式会社
引用:INTEGRATED REPORT 2025


第三者評価機関を活用した実効性評価プロセスを開示し、抽出された課題を翌期の取締役会の運営方針や計画へ確実に反映させるPDCAサイクルを示していますね!
受賞企業の開示内容に見られる「3つの傾向」
受賞企業の統合報告書には、審査基準を満たすための具体的な工夫やトレンドがよく表れています。
傾向1:企業価値向上に向けた「ロジックツリー」や「相関分析」の提示
非財務の取り組みが財務価値にどう結びつくかを視覚的に示すため、「ロジックツリー」を活用する傾向が強まっています。
BIPROGY株式会社
引用:統合報告書 2025

重点戦略や業績目標が、生産性向上や資本効率向上を経て、最終的な企業価値向上にどう結びつくかを図解しています!
傾向2:資本効率(ROIC・PBR等)と株価を意識した具体的な財務戦略
東京証券取引所の要請等を背景に、CFOメッセージ等を通じて、資本コスト(WACC)やROE、ROICを明確に意識した資本配分の開示が非常に充実しています。
政策保有株式の具体的な縮減計画、成長投資と株主還元のバランスについて、投資家が将来のキャッシュフローをイメージしやすいレベルで詳細に語られています。
TDK株式会社
引用:TDK United Report


CFOメッセージにて「キャッシュ・フロー経営の強化」や「ROIC経営の強化」を明言し、資本コストを意識したキャピタルアロケーション方針を定量的に提示しています!
傾向3:社外取締役の「肉声」と、実効性評価における課題の透明化
ほぼすべての企業が社外取締役の対談やメッセージを掲載し、取締役会で実際にどのような厳しい議論が交わされているかを開示しています。
さらに、取締役会の実効性評価において、「前年度の課題に対する対応状況」と「今年度認識した新たな課題・次年度への取り組み」を一覧表等で具体的に開示し、ガバナンスがPDCAサイクルを通じて進化している過程を透明化しています。
伊藤忠商事株式会社
引用:統合レポート2025


社外取締役メッセージでは、執行側や投資家とのリアルなやり取りを開示。
取締役会の実効性評価では、「前年度に抽出された課題とその進捗・評価」および「今後の対応」を詳細に開示し、ガバナンスの改善過程を明確に示しています!
本アワードで高く評価された報告書を紐解いてみると、そこには数字だけでは見えない経営の覚悟や情熱が映し出されています。
初めて統合報告書を発行しようと考えている方、毎年発行しているけれど内容にマンネリを感じている方、そんな方々にとって今後の参考になれば嬉しいです!



